実例比較!「残念なプロンプト」と「効果的なプロンプト」改善ビフォーアフター

はじめに/この資料の使い方

この資料の目的

この資料は、LLM(ChatGPTなど)を使い始めたけれど、「なんだか思った通りの答えが返ってこない…」「もっとうまく活用したい!」と感じているあなたのために作成しました。

プロンプトの「ちょっとした違い」が、AIの回答の質を大きく左右することをご存知ですか? この資料では、ありがちな「残念なプロンプト」と、それを改善した「効果的なプロンプト」をBefore/After形式で比較し、どこをどう直せば良いのかを具体的に解説します。

関連ブログ記事で解説した「効果的なプロンプトに絶対欠かせない5つの要素」に基づき、改善ポイントを明らかにしていきます。この資料を通じて、あなた自身のプロンプト作成スキルを向上させ、LLMをもっとパワフルなビジネスパートナーにするための一歩を踏み出しましょう!

対象読者の方へ

もしあなたが「プロンプトって、どう書けばいいんだろう?」と悩んでいるなら、この資料はきっとお役に立てるはずです。

効果的な活用方法

  1. Before/Afterを比較する: まずは、それぞれの実例で「残念なプロンプト」と「効果的なプロンプト」を見比べて、違いを感じてみてください。
  2. 改善ポイントを読む: なぜBeforeが良くないのか、Afterで具体的に何が変わったのかを解説で確認しましょう。特に「効果的なプロンプト5要素」がどう活かされているかに注目してください。
  3. 自分のプロンプトと比較する: あなたが普段使っているプロンプトと比べて、改善できる点がないか考えてみましょう。
  4. Afterプロンプトを試す: 「効果的なプロンプト(After)」はコピーして実際に試せます。ご自身の状況に合わせて調整してみてください。

さあ、具体的な実例を見ていきましょう!


比較実例集

ここでは、ビジネスシーンでよくある5つの状況を取り上げ、プロンプトの改善例を見ていきます。

実例1: 新商品のアイデア出し

状況設定

あなたは食品メーカーの企画担当者。若年層(Z世代)向けの新しいスナック菓子のアイデアをブレインストーミングしたいと考えています。

残念なプロンプト (Before)

新しいスナック菓子のアイデアを出して。

効果的なプロンプト (After)

あなたは、革新的な食品開発を得意とする商品企画のプロフェッショナルです。
以下の条件に基づいて、若年層(特にZ世代、18~25歳)にヒットしそうな新しいスナック菓子のコンセプトアイデアを5つ提案してください。
# 条件
* ターゲット: Z世代(18~25歳)男女
* コンセプトの方向性: 健康志向(低カロリー、高タンパク、食物繊維など)、SNS映えする見た目、環境配慮(サステナブルな原材料、パッケージ)のいずれか、または組み合わせ
* 重要視する点: 既存のスナック菓子にはない、新規性・独自性のあるアイデア
* 提供情報:
    * 最近のZ世代の食トレンド(例:グミブーム、代替プロテイン、プラントベースフードなど)
    * 当社の強み:チョコレート加工技術、米菓製造ノウハウ
# 出力形式
以下の形式で、各アイデアについて記述してください。
* アイデア名:
* コンセプト概要:(どのような商品か、ターゲットへの訴求ポイント)
* 新規性・独自性:(既存商品との違い、なぜZ世代に響くか)
* 想定される主な原材料:

改善ポイント解説

  • なぜBeforeプロンプトが残念なのか?
    • 指示が曖昧すぎます。「新しいスナック菓子」のターゲットも方向性も不明なため、AIは何を基準にアイデアを出せば良いか分かりません。
    • 文脈(誰が、何のために、どんな背景で求めているか)が全く提供されていません。
    • AIに役割を与えていないため、一般的な回答しか期待できません。
    • 出力形式が指定されていないため、使いにくい形式で回答される可能性があります。
  • Afterプロンプトでは、どこをどのように改善したのか?
    • 【役割設定】: 「商品企画のプロフェッショナル」という役割を与えることで、専門的な視点からのアイデアを期待できます。
    • 【明確性・具体性】: 「若年層(Z世代)向け」「健康志向、SNS映え、環境配慮」といった具体的なターゲットとコンセプトの方向性を明確に指示しました。
    • 【文脈】: 「ターゲット」「コンセプトの方向性」「重要視する点」「提供情報(トレンド、自社の強み)」として文脈情報を提供し、アイデアの質を高めるようにしました。
    • 【出力形式指定】: アイデアごとに記載してほしい項目(アイデア名、コンセプト概要など)を出力形式として指定し、情報を整理しやすくしました。
    • 【肯定的な指示】: 「~を提案してください」と肯定的な指示になっています。

実例2: ブログ記事の構成案作成

状況設定

あなたは企業のマーケティング担当者。自社で提供しているプロジェクト管理ツールのメリットについて、潜在顧客向けのブログ記事を書きたいと考えています。まずはその構成案を作成したい状況です。

残念なプロンプト (Before)

プロジェクト管理ツールのブログ記事の構成案を考えて。

効果的なプロンプト (After)

あなたは、BtoB SaaS企業のコンテンツマーケターです。
以下のテーマと読者像に基づき、プロジェクト管理ツール導入のメリットを訴求するブログ記事の構成案を作成してください。ターゲット読者が記事を読み終えたときに、「このツールを試してみたい」と感じるような構成を目指してください。
# テーマ
* プロジェクト管理ツール導入による業務効率化とチームコラボレーション促進
# ターゲット読者
* 中小企業のプロジェクトマネージャーまたはチームリーダー
* 複数のプロジェクトを抱え、進捗管理や情報共有に課題を感じている
* ITツール導入には前向きだが、具体的なメリットや選び方に悩んでいる
# 含めてほしい要素
* 読者の課題への共感
* ツール導入による具体的なメリット(事例や数値データを交えて)
* よくある誤解や導入障壁への言及と解決策
* 導入ステップの簡潔な紹介
* 行動喚起(例:無料トライアルへの誘導)
# 出力形式
* タイトル案(3案)
* 導入(読者の課題提起と記事の目的)
* 本文(見出しと各セクションの簡単な内容説明)
    * 見出し1:[内容]
    * 見出し2:[内容]
    * ...
* まとめ(メリットの再確認と行動喚起)
# トーン&マナー
* 専門的でありながら、分かりやすい言葉遣い
* 読者に寄り添う、信頼感のあるトーン

改善ポイント解説

  • なぜBeforeプロンプトが残念なのか?
    • 「何のツール」か、「誰向け」の「どんな目的」の記事かが不明確です。
    • 文脈(読者の課題感、記事のゴール)が欠けています。
    • AIに役割(マーケター視点)を与えていません。
    • どのような構成案(項目、粒度)が欲しいかの出力形式が指定されていません。
  • Afterプロンプトでは、どこをどのように改善したのか?
    • 【役割設定】: 「BtoB SaaS企業のコンテンツマーケター」という役割を設定し、ターゲットに響く構成案作成を促しました。
    • 【明確性・具体性】: テーマ、ターゲット読者像、含めてほしい要素を具体的かつ明確に指示しました。
    • 【文脈】: 読者の課題感や記事のゴール(「試してみたい」と感じさせる)といった文脈を提供しました。
    • 【出力形式指定】: タイトル案、導入、本文(見出しと内容)、まとめという出力形式を指定し、求める構成案の形を明確にしました。さらにトーン&マナーも指定しています。
    • 【肯定的な指示】: 「~を作成してください」「~を目指してください」と肯定的な指示を使っています。

実例3: メールの返信文作成

状況設定

顧客から、自社製品に関する少し複雑な問い合わせメールが届きました。丁寧かつ的確に回答する必要があります。

残念なプロンプト (Before)

以下のメールに返信して。
[ここに顧客からのメール本文を貼り付け]

効果的なプロンプト (After)

あなたは、顧客サポートのエキスパートです。以下の顧客からの問い合わせメールに対して、丁寧かつ的確な返信メールを作成してください。
# 顧客からの問い合わせメール:
[ここに顧客からのメール本文を貼り付け]

# 返信メール作成の指示:
* 差出人: [あなたの名前/部署名]
* 宛名: [顧客名] 様
* トーン: 丁寧、親切、プロフェッショナル
* 含めるべき内容:
    1. 問い合わせへのお礼
    2. [問い合わせ内容の要約]
    3. [問い合わせ内容に対する回答や対応策] (もし回答が複数部署にまたがる場合は、その旨と今後の流れを説明)
    4. 他に不明点がないかの確認
    5. 結びの言葉
* 特に注意する点:
    * 専門用語は避け、分かりやすい言葉で説明する。
    * 回答に時間がかかる場合は、その旨と目安の期間を伝える。
    * 否定的な表現は避け、解決に向けた前向きな姿勢を示す。
# 出力形式:
* 件名: Re: [元のメール件名]
* 本文: [メール本文全体]

改善ポイント解説

  • なぜBeforeプロンプトが残念なのか?
    • ただ「返信して」だけでは、どのようなトーンで、誰として、何を含めて返信すれば良いのかが不明確です。
    • 文脈(顧客との関係性、自社の対応方針など)が不足しています。
    • AIに役割(顧客サポート担当者)を与えていません。
    • どのような出力形式(件名、本文)で返信文が欲しいか指定されていません。
  • Afterプロンプトでは、どこをどのように改善したのか?
    • 【役割設定】: 「顧客サポートのエキスパート」という役割を設定し、適切な対応を促しました。
    • 【明確性・具体性】: 差出人、宛名、トーン、含めるべき内容、注意点などを具体的かつ明確に指示しました。
    • 【文脈】: 元のメールを提示し、それに対する返信という文脈を明確にしました。
    • 【出力形式指定】: 件名と本文という出力形式を指定しました。
    • 【肯定的な指示】: 「~を作成してください」「~を含める」「~を示す」など、肯定的な指示を中心に構成し、「否定的な表現は避ける」という注意点も肯定的な指示(「解決に向けた前向きな姿勢を示す」)と併記しています。

実例4: 情報の要約

状況設定

長文の業界レポートを読みましたが、要点をチームメンバーに素早く共有したいと考えています。

残念なプロンプト (Before)

この記事を要約して。
[ここにレポートのテキストを貼り付け]

効果的なプロンプト (After)

あなたは、情報を簡潔かつ正確にまとめるのが得意なリサーチャーです。
以下の業界レポートのテキストを読み、主要なポイントを抽出し、300字以内で要約してください。
# 対象テキスト:
[ここにレポートのテキストを貼り付け]

# 要約の目的:
* チームメンバー(業界の専門家ではない人も含む)に、レポートの最も重要な結論と示唆を素早く伝えること。
# 含めてほしい要素:
* レポートの主題(何についてのレポートか)
* 最も重要な発見や結論
* 今後の市場動向に関する主要な示唆
* (もしあれば)注目すべき具体的なデータや統計
# 出力形式:
* 箇条書きではなく、連続した文章で記述してください。
* 平易な言葉遣いを心がけてください。
# 注意点:
* 個人的な意見や解釈は含めず、レポートの内容に基づいて客観的に記述してください。
* 専門用語が多用されている場合は、簡単な説明を加えるか、より一般的な言葉に置き換えてください。

改善ポイント解説

  • なぜBeforeプロンプトが残念なのか?
    • 「要約して」だけでは、どの程度の長さで、誰のために、どのポイントに焦点を当てて要約すれば良いかが不明確です。
    • 文脈(なぜ要約が必要か、共有相手は誰か)が欠けています。
    • AIに役割(リサーチャー視点)を与えていません。
    • 出力形式(箇条書きか、文章か、文字数制限など)が指定されていません。
  • Afterプロンプトでは、どこをどのように改善したのか?
    • 【役割設定】: 「情報を簡潔かつ正確にまとめるのが得意なリサーチャー」という役割を設定しました。
    • 【明確性・具体性】: 「300字以内」という具体的な文字数制限、「チームメンバー(非専門家含む)向け」という対象、「レポートの主題、結論、示唆、データ」といった含めてほしい要素を明確に指示しました。
    • 【文脈】: 要約の目的(素早く共有するため)という文脈を提供しました。
    • 【出力形式指定】: 「連続した文章で」「平易な言葉遣い」という出力形式を指定しました。
    • 【肯定的な指示】: 「~を抽出してください」「~を記述してください」「~を心がけてください」と肯定的な指示を使用し、「個人的な意見は含めず」という注意も客観的な記述を求める指示と併記しています。

実例5: 競合調査の依頼

状況設定

自社が開発中の新しいSaaSツールの競合となりそうなサービスを調査し、リストアップしたいと考えています。

残念なプロンプト (Before)

SaaSツールの競合を調べて。

効果的なプロンプト (After)

あなたは、市場調査と競合分析を専門とするリサーチアナリストです。
現在、私たちが開発中の「中小企業向け・AI搭載の顧客関係管理(CRM)ツール」について、主要な競合となりうるSaaSサービスを調査し、リストアップしてください。
# 調査対象の条件:
* 機能: 顧客情報管理、営業支援(SFA)、マーケティングオートメーション(MA)のいずれか、または複数の機能を持つ。AI機能(データ分析、予測、自動化など)を搭載しているサービスを特に重視。
* ターゲット顧客: 主に中小企業(従業員数10~300名程度)をターゲットとしている。
* 地域: 日本国内でサービス提供している、または日本語対応している。
* サービス形態: クラウドベースのSaaS
# 調査してほしい項目(各競合サービスについて):
1. サービス名
2. 提供企業名
3. 主な機能概要
4. 主なターゲット顧客層
5. 価格帯(分かる範囲で)
6. 特筆すべき強みや特徴(特にAI機能について)
7. 参考URL(サービス公式サイト)
# 出力形式:
* 上記の項目をまとめた表形式で出力してください。
* 最低5つの競合サービスをリストアップしてください。
# 注意点:
* 大企業向けの高価すぎるサービスや、特定の業種に特化しすぎているサービスは除外してください。
* 最新の情報を基に調査してください。

改善ポイント解説

  • なぜBeforeプロンプトが残念なのか?
    • 「何のSaaSツール」の競合か、どのような基準で「調べて」ほしいのかが全く不明確です。
    • 文脈(自社が開発中のツールの概要)が不足しています。
    • AIに役割(リサーチアナリスト)を与えていません。
    • どのような情報を、どのような出力形式でまとめてほしいか指定されていません。
    • 「調べて」が曖昧で、何をアウトプットすれば良いかAIが判断できません。
  • Afterプロンプトでは、どこをどのように改善したのか?
    • 【役割設定】: 「市場調査と競合分析を専門とするリサーチアナリスト」という役割を設定し、専門的な調査を期待できるようにしました。
    • 【明確性・具体性】: 自社ツールの概要、調査対象の条件(機能、ターゲット、地域、形態)、調査してほしい項目を具体的かつ明確に指示しました。
    • 【文脈】: 「開発中のツール」の概要を示すことで、調査の文脈を明確にしました。
    • 【出力形式指定】: 「表形式」「最低5つ」という出力形式を指定し、結果を利用しやすくしました。
    • 【肯定的な指示】: 「~を調査し、リストアップしてください」「~を出力してください」と肯定的な指示を用いつつ、「~は除外してください」という否定的な指示も、範囲を明確にするために効果的に使用しています。

まとめ/次のステップ

学んだことの要約

この資料では、5つの具体的なビジネスシーンを通して、「残念なプロンプト」と「効果的なプロンプト」の違いを見てきました。

効果的なプロンプトを作成するためには、以下の5つの要素を意識することが非常に重要であることがお分かりいただけたかと思います。

これらの要素を少し意識するだけで、AIはあなたの意図をより正確に汲み取り、期待以上の成果を出してくれる可能性が高まります。

次のステップ

ぜひ、今日からあなたのプロンプトを見直してみてください。

この資料の「効果的なプロンプト(After)」を参考に、コピー&ペーストして、ご自身の状況に合わせてカスタマイズすることから始めてみましょう。

また、関連ブログ記事では、なぜこれらの要素が重要なのか、LLMがどのように"ひらめく"のかといった背景理論や、さらに多くのプロンプト作成のヒントを解説しています。ぜひそちらも合わせてお読みいただき、理解を深めてください。

プロンプトの改善は、試行錯誤の繰り返しです。楽しみながら、あなただけの「最強のプロンプト」を見つけていきましょう!